盗聴器の発見調査事例ファイル

調査事例 報告

(注) 当事者に掲載許可を得て、若干の修正を加えた後に掲載しています。

盗聴調査事例ファイル−1

会社にいるはずの夫が、何故か自分(依頼者)の行動を把握しているらしい。話を聞いてみても非常に具体的で、盗聴または何らかの手段によって行動を知られている可能性は高そうだった。

調査を開始してみると、いきなり最初のアナログ式無線盗聴器の周波数スキャンで明らかな盗聴波が確認された。とりあえず受信機の感度を意図的に弱めて、動きまわりながら少しずつ捜索範囲を狭めていった。反応が強くなったのは居間の隅部分。ここには盗聴発見業者ならば誰でもピンとくるものがあった。‥‥電源タップである。実際、この近くで音を立てると受信機にも同じ音が入ってくる。一瞬だけ電源タップを抜くと音は途切れ、挿れ直すとすぐに音が聞こえる。どうやら間違いなく偽装型の盗聴器のようだ。その後、新たに電話機周辺にも盗聴器が見付かった。こちらも市販品で、どちらの盗聴器も微妙に周波数をずらしていたあたり、なかなかの周到さを感じさせた。

筆談で依頼者に聞いてみると「どうせ仕掛けたのは夫だから取り外して下さい」との返答。確かに、どちらも差し込むだけの単純すぎる市販盗聴器であり、(周波数をずらしていたとはいえ)プロの仕事にしてはあまりにお粗末と思える。やはり同居家族が仕掛けた可能性は否定できない。普通ならば警察に届けるのをお勧めするのだが、依頼者の強い希望があるので今回は取り外しもすることにした。指紋が付かないよう、そして付着しているかもしれない盗聴犯の指紋を消してしまわないよう、きっちりと現場写真を撮影してから慎重に取り外しを行った。

全ての調査過程を終えて、依頼者から話を聞いてみると、数日前のパート帰りに自宅まで尾行されただとか、部屋近くにある非常階段に見知らぬ人間が立っていただとか、とても心配そうに話していた。これらの話からだけでは断定できないものの、ひょっとしたら夫が妻(依頼者)の浮気などを疑って探偵を雇っていたのかもしれない。市販品とはいえ盗聴器を自宅に仕掛けるのは相当な勇気が必要な作業であるが、探偵の入れ知恵があったのならば納得はできる。

‥‥これらはいずれも推測の域を出ないが、「実際に動いている盗聴器が発見された」というのだけは確かな事実。夫が仕掛けたのであれ他者が仕掛けたのであれ、平和に見える普通の家庭にさえ盗聴器が入り込む時代になったのかと思うと、少し複雑な気持ちになった。

盗聴調査事例ファイル−2

盗聴器発見調査の依頼をしてきたのは、とある大手流通系企業の幹部。以前にも別件で、当社の探偵部門が行動調査をしたことがあり、それなりの好印象を得ていた。ここ最近、ライバル社が不穏な動きを見せているというのが今回の依頼理由。依頼者いわく「他の盗聴発見業者に頼んだのだが、どうも調査結果に納得が出来ない」とのこと。仮にも専門業者に依頼したのであれば、当社が調査しても盗聴器が見付からない可能性が高いとは思いつつ、その時の調査方法を聞いてみた。

さすがに依頼者は専門家ではないので曖昧な記憶しかなかったが、どうやら据置型の広帯域受信機での盗聴波スキャンとスペアナ(らしき機材)による解析といった調査だったようだ。こちらから見ても、最低限の項目は抑えていたように思えた。

ただし、その業者は「アナログ式でもデジタル式でも100%発見できます」と依頼者に言い切っていたそうだ。この業界では多少の誇張を交えて宣伝するケースは珍しくないことだが、これは明らかに言い過ぎ。実際の100%というのは有り得ない。まだ調べる余地が残っているということで、さっそく調査を開始した。

アナログ式の盗聴器・盗撮カメラは発見無し。これは予想通りの結果。もしあれば、前回の他社による調査で間違いなく見付かっていたはずだからである。

2GHz帯で盗聴波と疑われる反応が出て「デジタル式トランスミッターか?」と少し緊張したが、これは社内で使っている無線LANだったことが判明。調査開始前に携帯電話などの電波発信源はできるだけ停止させてもらっていたのだが、どうやら手違いで停止させ忘れたパソコンがあったようだ。‥‥余談だが、無線LANは情報漏洩される危険が意外と高いので、パスワードによる接続制限など最低限のセキュリティは行っておきたい。アノニマス(匿名)でのログオンを認めていたり、パスワードを出荷時設定のまま使用するのは論外である。ファイアウォールが有効なのは基本的にネットワーク「外部→内部」へのアクセスであり、一度でも内部に潜入されたら共有フォルダの情報など抜き取り放題になってしまう危険が高い。

さて、少しばかり話題が逸れてしまったが、この後の盗聴調査でも特に異常は見られなかった。社内に複数ある電話も盗聴されている様子は見当たらない。

異変が起こったのは、社用車専用の駐車場を調べた時だった。社用車のうち1台に、盗聴器らしき不審な物体を確認した。機材を使って慎重に調べてみたところ、この不審な物体から電波が発せられている様子は無い。外見的にも電波的にも、沈黙したままである。

依頼者から許可を得て、黒いビニールテープで社用車のバンパー裏側に貼り付けられていた物体を慎重に回収。盗聴器にしては少し大きめのケースを開けてみると、中には広域型電波を使った発信機と、UHF帯の盗聴器が2個セットで入っていた。どちらも既にバッテリー切れで、やはり電波は発していない。

盗聴器を車外に取り付けても、通常は盗聴器として機能しないため(エンジン音などに邪魔されるから)、盗聴器を「車両位置特定」に流用する目的であると断定しても構わないケースだ。広域型発信機で大まかな位置を検索し、その近くまで来たら盗聴器の電波を頼りにしながらピンポイントで対象車両の位置を特定する訳である。盗聴発見業者の調査方法を車両位置特定に応用した、どちらかといえばプロの探偵が使いそうなやり方だ。ライバル社が探偵を雇って調査していたのが、何らかの理由で中断した名残なのだろうか?(それにしても普通なら取り外しをしているべきだが‥‥)

結局のところ、盗聴器を探しに来たら発信機まで見付けてしまったという良く分からない調査結果となってしまったが、とりあえず他業者よりも成果が出たということで「やっぱりお宅に依頼して良かった」と賛辞は頂けた。

ここで盗聴発見調査は終了して、この先は当社の探偵部門にバトンタッチ。地道な調査の末、この会社(依頼者)を調べまわっていた調査会社を特定し、接触していたライバル社との関係まで掴むことができた。ここへ来て状況は一変。後日、依頼者側がライバル社とコンタクトを取り、事態はいちおうの解決を見たということだった。

上記のような案件は、最近増える傾向にあり、日本でも、企業間の諜報合戦に盗聴器が使用されるケースが非常に多くなっているように思える。